好きなもの、心惹かれるもの

本、音楽、陶器、織物、手芸品をご紹介します。

東シナ海と倭人の世界 

同じくnippon.comのこの村井章介東大大学院教授の論文もとても興味深いです。 血脈が何国人であろうと、母国以外もしくは国と国を軽々と跨いで活躍暗躍した人々がいたことは、小林惠子先生の著書からもよくわかります。 倭寇・倭人と境界人 私は1993年、『中…

オホーツク世界と日本

面白い媒体を見つけました。nippon.comです。 アイヌ民族とモンゴル元や明との戦いの歴史について、北海道大学名誉教授 菊池俊彦先生が詳しく書かれていて、大変興味深いです。2回もイエズス会宣教師が天草から来て、本国に報告しているのも驚きです。 www.…

小林惠子著書より歴代天皇年表

小林惠子元岡山大学助教授の著書から、歴代天皇年表を作ってみました。人名、役職名が多すぎて、読んでいるうちに訳がわからなくなります。著書によっても多少の違いがありますし、完全ではありませんが、年表を見ながら、著書を読むとわかりやすいです。 三…

「アイヌと縄文」

「アイヌと縄文」瀬川拓郎著 ちくま新書 2016 遣隋使と遣唐使と清国しか習った記憶のない中国の王朝ですが、遼という契丹時代に、根来寺と武器のやりとりがあったことや、遼国に使者を送っていたことが、遼の記録には残っていることを知りました。ですから、…

「シルクロードの経済人類学 日本とキルギスを繋ぐ文化の謎」

栗本慎一郎著 東京農業大学出版会 2007 小林惠子元岡山大助教授の一連の著書を裏付けするような本です。日本の神宮やお寺が、ミトラ教やゾロアスター教の影響を受けて建てられていることがわかります。草原の道から、日本は決して遠くはないですね。仏像の光…

「栗本慎一郎の全世界史」

栗本慎一郎著 技術評論社 2013 本にイリ川、バイカル湖など地名が出てきますが、以下の地図がわかりやすいと思います。 シベリアといえば寒いイメージでしたが、そうでもなかったのですね。米原万里さんが通訳で行かれたサハ共和国の寒さの方が、遥かに凌駕…

「天平のペルシア人」ほか

杉山二郎著 青土社 1994 p24藤原京、平城京に、「新撰姓氏録」に記載されなかった、碧眼紅毛の異邦人達が闊歩していたと推測している。 p38 日本書記に載っている都訛(貝編)羅人とはトカレスターンと思われる。舎衛とは中世ペルシア語のシャーフ(王)の対…

「ジョージ六世戴冠式と秩父宮」

吉田雪子著 新人物往来社 1996 英国王室ジョージ六世戴冠式には、秩父宮両殿下がご出席だったのですね。雪子夫人の父、牧野伸顕伯爵が若い頃、英国公使館書記官としてロンドンに数年暮らしていたとは知りませんでした。雪子夫人は、晩餐会にダイヤのティアラ…

「大英博物館と日本人ー夏目漱石・南方熊楠・孫文」

京大名誉教授 岩村 忍著 南方熊楠について、昭和天皇が1度謁見してたいそう喜ばれたと読んだ以外何も知らなかった。孫文の命の恩人でもあったんですね。 p163 漱石が「方丈記」を英訳したのは大学生のとき。南方の「方丈記」翻訳も、当時ロンドン大学総長、…

「溥傑自伝 満州国皇弟を生きて」 

愛新覚羅溥傑著 河出書房新社 1995 溥儀が、日本に金はもう送ってある、と言ったのは、本人名義の口座があったのでしょうか?凍結されちゃったのでしょうね。関東軍の溥傑一家に対する待遇は、恐ろしく悪く、外出時に自家用車を使うのを許さないとか、冬にな…

「盗まれた聖徳太子伝承ー古代に真実を求めて」

古田史学の会編 明石書店 2015 九州王朝の多利思比孤の伝承を、聖徳太子という架空の人物にすり替えている、という古田武彦氏の主張を、古田史学の会の会員方が、新しい論説を加えて編集した本のシリーズ。 法隆寺が九州の観音寺を移築したものであるという…

「寺社勢力の中世  無縁・有縁・移民」

伊藤正敏著 筑摩新書 2008 目から鱗が何枚もぽろぽろ落ちる本です。 「寺そのものが、都市なのだ」そうです。例えば高野山国、比叡山国、東大寺国、園城寺国、のような感じで、大寺院は所領の中に工場も市場も住宅も網羅した国だったのですね。 特に遼へ武器…

「波斯の末裔」

西澤裕子著 講談社 1999 天平時代にペルシアから渡来し、東大寺、平安京作りに携わった、測量に秀でた王族の末裔。真田昌幸と信之に、ここまで残酷な仕打ちをされていたとは。司堂家は本当の家名なのでしょうか。伊能忠敬以前に、精巧な地図があったのですね…

「阿片王 満州の夜と霧」

佐野真一著 新潮文庫 2008 日本民族が満州からアムール川流域、キルギスからやって来たのだとしたら、満州国を建てようと計画した人々は、元の領地を取り戻す意図があったんでしょうか??? 5本も電話を引いていた里見は、一体誰と電話していたのか。最後…

「ナツコ 沖縄密貿易の女王」

奥野修司著 文春文庫 2007 時間の狭間に消えていった歴史。 p34 与那国島から沖縄本当まで約500キロ、台湾まで約110キロ。与那国島の真ん中に東経123度線が走り、この東側が日本の防空識別圏で西側が台湾の防空識別圏。123度線より西側にある与那国空港は日…

「黒の機関 ドキュメント闇の昭和史」

森 詠著 祥伝社文庫 2008 人脈図4に田中清玄と笹川良一も姿を見せていて、役者は揃った印象。台湾に移ってからの蒋介石が、大掛かりに陸軍将校たちを台湾に呼び寄せて台湾義勇軍にしていた事実には驚かされた。 p65 辰巳が軍関係のことでGHQと連絡を取り合…

「アジアの世紀の鍵を握る客家の原像―その源流・文化・人物 」

林 浩著 中公新書 1996 風水思想が染み込んでいる土楼。住まいには、風水もとても重視されているようです。 p213 モンゴルは天下を征服したあと、モンゴル兵を漢人各家庭に住まわせ、漢人の挙動を監視させた。モンゴル兵たちは、ただ食べているだけで、漢人…

「流転の子 最後の皇女・愛新覚羅嫮生」

本岡典子著 中央公論新社 2011 溥儀は最後まで溥傑に内緒にしていたが、実は溥儀と関東軍の間には密約があったとは。常陸宮様を想定していた? 竹田宮妃から、今すぐ飛行機で脱出する、という電話をもらった時に浩と嫮生が同乗していれば無事に帰国できたの…

「最後の公爵 愛新覚羅恒煦 激動の中国百年を生きる」

愛新覚羅烏拉煕春著 朝日選書 1996 著者 日本名 吉本智慧子 愛新覚羅ウルヒチュン女史は、京都大学博士で教授、同じく京大教授の吉本道雅氏と結婚されています。契丹語が読めて、遺跡にも行かれた著書があります。姿勢の良い皇女様の雰囲気をまとう美女です…

「李香蘭を生きて」

山口淑子著 日本経済新聞社 2004 www.youtube.com www.youtube.com 死と隣り合わせの映画製作。慰問では若い兵隊さん達の様子が描写されていて、「触ってはいかん」「触ってはいかんのでありますか」。目に浮かぶようです。 p140 満映自主制作映画「黄河」は…

「知られざるさすらいの愛」

相馬 勝著 講談社 2012 幼馴染の蒙古王族カンジュルジャップと3年の結婚、男児を授かる 川島浪速は、父親としての器ではなかった。愛新覚羅溥傑が父親代わりだったなら、全く違う人生になったのでは。それに愛新覚羅家として、家庭教師とか乳母とかなぜ一緒…

「五色の虹 満州建国大学卒業生たちの戦後」

三浦英之著 集 英社文庫 2017 日本政府が満州国の将来の運営を任せるために多大な予算をつけて新京に作ったスーパーエリートの建国大学。通常の大学の3〜6倍の巨費が投入された。学生達は日本、中国、朝鮮、台湾、モンゴル、ロシアの各民族から秀才を選抜…

「戊辰戦争の史料学」

箱石大著 勉誠出版 2013 海外に散らばった幕末史料が発見されたり、日本人の目に触れるようになったのですね。 p38 戊辰戦争に参加したシュネル兄弟に関する新史料。戊辰戦争期に会津・米沢・庄内などの諸藩に潜入し、奥羽越列藩同盟側に荷担した彼らについ…

「諜報の神様と呼ばれた男 連合国が恐れた情報士官・小野寺信の流儀」

岡部伸著 PHP研究所 2014 和平終戦工作に最も近いところにいた小野寺信。第二の明石元二郎といった感じです。違うのは、参謀本部奥の院に敵がいて、ソ連の参戦を事前にリアルタイムで知らせているのに、生かされないなど邪魔が入ったこと。蒋介石との直接和…

「少年皇族の見た戦争」

久邇邦昭著 PHP研究所 2015 曽祖父は孝明天皇の右腕、祖父母は米国大統領と記念撮影、ご本人は香淳皇后の甥、ローマ法王謁見、エジンバラ公と会議でご一緒、そしてなぜだか、ハプスブルグ家オットー・フォン・ハプスブルグ氏が久邇邦昭氏のご自宅を訪問され…

「義経の東アジア」

小島 毅著 2010 宋銭が日本に輸入され、代わりに金が輸出された話。 p17 宋と金とは紹興12年(1142年)に平和友好条約を結び、二十年近くに及んだ交戦状態に終止符を打った。ところが二十年後、金が一方的に条約を破棄した侵攻をする。宋にとって幸いなこ…

「古代は輝いていた」2

古田武彦著 朝日新聞社 1985 龍が向かい合う太刀 龍が玉を持っているデザイン、可愛いですね。 p78 対馬の伝承 「私の方の神様は、1年に1回、出雲に参られます。神無月です。その時出雲に行かれます神々の中で1番最後に参られて、一番最初に帰ってくる、…

「曠野の花 石光真清の手記」

石光真清著 中公文庫プレミアム2017 匈奴の末裔が馬賊なのでしょうか??? p10 西本願寺のウラジオストック出張所を訪ねた。この出張所には参謀本部から派遣されている花田仲之少佐が清水松月という僧名で住職を務め、機密の調査に当たっていることは、私も…

「熊襲は列島を席巻していた」

内倉武久著 ミネルヴァ書房 2013 興味深いことが色々。玉壁って初めて見ました。隠されていた古代王の印。 ウイグル王族が、このような三叉の冠をつけていた絵を比較として p35 宮崎県串間市から出土した玉壁。玉壁は、古代中国で皇帝など貴族階級が権威の象…

「夏王朝は幻ではなかった」

岳南、朱建栄著 柏書房 2005 夏王朝の前にも、別の王朝、国があったようですね。炭素14による年代測定、文献にある天象記録に基づく計算から夏王朝元年は前2070年とした、そうです。文献にある五つの惑星が直列、曲列したという記録。それを米国製ソフトで計…