娘の高校留学に伴い、パリで暮らした日々を、ジェレミーさんの動画で少し思い出したので、書いておきます。先にイタリア語を少し学んで、イタリア留学のはずだったのですが、実際に二人でローマとベニスへ行ってみて、ここで暮らすのはハードルが高すぎると感じて、本人は校長先生との面接をローマでドタキャンする事態になり、私は急性胃腸炎になってホテルでダウンするしで、あえなくイタリアプランは消えました。ベニスはご褒美のおまけであり、高校はローマでした。メトロも怖い感じで、これは通学は無理と感じたのです。
パリ症候群について動画内で話されていますが、私がいた20年近く前も、それは言われていました。駐在員の奥様で、パリのイメージと現実が違いすぎて、精神的におかしくなられた方とか。パリは、1区から15区くらいまでの区域が安全で良いところと聞いていて、それより数字が多い区域へは怖くて一人では行けませんでした。だからといって、すりはどこでもいるのです。サンジェルマン・デ・プレという銀座的なところは6区でお洒落だけど、メトロのプラットホームなら、すりもいます。
パリ症候群は、あくまで日本人が、美しいイメージを持ちすぎて来仏して、そのギャップに幻滅するというものですが、それよりも多いクレームは、すりではないかな?と思っています。現地に永住されている日本人の方の話では、働いた後の夕方、メトロに「はぁ、終わった」、と座った次の瞬間、持っていたブランドバッグがなかった、という手品のような事件。扉隣の席に友人と座っていて、話しながら、前にいる人のコートがやたらと動くなと思っていたら、そのコートの下から、その人のバッグの中の財布を盗もうとしていたこと。手品のような鮮やかな手口が特徴のようです。見ないで、触るだけで、ヴィトンの財布かどうか、わかるのだそうです。
パリで働いている息子さんに会うために友人と渡仏した熟年夫人。友人二人でぺちゃクチャ日本にいる時のように話しながらメトロを移動していて、気がついたらバッグがなかった。パリのメトロで、友人と話すのはカモになりやすいようですね。常に前後左右に視線を向けるしかありません。話すのは、カフェや美術館やホテルに入ってからでもできるでしょう。警戒心ゼロでは、赤子の手を捻るより簡単。怪我が無かっただけマシと思うしかありません。もっともパスポートもカードも取られて困る方が多いけど。
パリの弁護士と結婚した永住s日本女性の話。パリで車を運転していて、助手席にエルメスのバッグを置いていた。赤信号で止まったら、バイクの二人組がいきなり助手席のドアを開けて、バッグを盗んだそうです。手並の鮮やかさ、スピーディさ、荒っぽさ。この女性は、スーパー等あちこちでフィリピン人のお手伝いさん、と見下されるのが嫌で、シャネル等、いつもブランド品のファッションを身につけていたとか。ブランド品を身に纏っていると、命の危険までいかなくとも、危ない思いをするのは確か。
この方には失礼ではありますが、私のイメージでは、ブランドファッションにお金をかけるのは成金の感じ。古くからのお金持ちは、お屋敷と別邸と庭とバカンスにお金をかけるイメージです。家の維持にお金がかかるから、ファッションと車には、派手なものは買わない。案外質素で普通の身なりをされていると思います。綿、絹、カシミヤなど素材は良くて、定番で流行のないファッション。フェラーリのような派手な車を買わないのは、泥棒よけのためだと思います。アラブの王族のように、ピューマやライオンが庭にいるような邸宅なら、どれだけ派手な車でも問題ないのでしょう。
7月8月は、全土バカンスで電車から全てのことが止まってしまう時期なので、あまりお勧めしません。国内へ行く長距離列車TGVは、1時間くらい、平気で野原で止まります。ルルドへ行くはずの日本女性が、そのせいで、23時近くに駅に着いて困ったと聴いたこともあります。私もルーアンへ日帰り旅行に行き、野原でTGVが1時間ほど止まってしまって、夜遅くパリに着いて困ったことがありました。日本の新幹線のように、お金の払い戻しもありませんでした。
ボルドーへ行った際は、TGVの指定席が5号車だったにも関わらず、5号車そのものがなかったこと、それを見た5号車に乗る予定だったフランス人たちが一斉に4号車と6号車へ殺到したことを覚えています。別の時は、自分の座席に既に乗っていたカップルがいて、絶対に動きませんでした。
パリに関しては、ルーブル美術館など超有名な観光地は、綺麗になっていますが、住宅街は、犬の糞がそこかしこに散らばっていますから、踏まないように要注意です。私も毎日スーパーへ行くのに、踏まないように、一心不乱で地面を見て歩いていました。雪の日などは特に注意が必要です。犬は吠えないのですが、糞を飼い主が拾う習慣がないんですね。意外と大型犬も、アパートで飼っています。ジェレミーさんが、メトロに犬の糞があった、と言われていますが、それは初耳でした。きっと今ではもっと移民も増えて、もっとカオスなのだろうと思います。
アリアンス・フランセーズで仏語を習ってから渡仏しましたが、そこで知り合った年上の奥様が、是非ともエルメスバッグを本店で購入したい、とのことで、頼まれて付きそったことがあります。一見さんには売らないらしく、上から下まで、エルメスファッションを着ているような女性や、いかにもハイソな女性、洗練された身なりのエレガントな女性で、エルメスのバッグにふさわしいとスタッフが見てとった女性なら、「あります」、と別室に案内して出してくるらしいです。しかも待っている間にワインやコーヒーを出してくれるとか。その奥様は歯科医夫人で、一般的なエルメスのショルダーバッグは持たれていたかと思います。そのせいか、希望の黒ではないけれど、トルコブルーなら1か月待てば日本まで送る、とのこと。奥様、狂喜して、ご購入。でもこの時には、別室に案内はされませんでしたから、上得意とは見做されなかったわけです。
1か月過ぎて、待てど暮らせど来ないとのことで、丁寧に「OO夫人が首を長くして待っているのですが、どのような感じでしょうか」、と手紙で問い合わせ。幸い、そのあと届いたのだけれど、届いたバッグの金具に傷があるとのことで、なんとかして、と再度メールが。ここでモロにクレーム入れても無理だろうと予測を立てて、遠回しに「OO夫人が待望のバッグが届いてとても喜んでいますが、金具に傷があってがっかりしています。」のように手紙を出したら、東京店に、その金具を送るとのことで、やれやれ、と思いました。エルメスでは、挨拶は仏語だけど、細かい注文等は、英語でOKでした。
私はブランド品には興味がないので、ほとんど一瞥もしませんでした。唯一買っても良かったなとあとで思ったのが、絹のスカーフです。日本で買うよりは安かったのと、スカーフの柄の種類は、当時は日本よりも断然パリの方が豊富だったからです。スカーフだけなら、空港の免税店の方が安全ではないかしら。今では、布地のデパートで、舶来の絹の布地を1m購入して、自分で四隅を手縫いしてスカーフを手作りするのが一番経済的かなと思っています。ちょっと素敵と思う、1mで1万円くらいする絹地をお店で見たからです。誰ともかぶらないし、経済的だし。女性は首、足首、手首を冷やさないのが大事なので、絹のスカーフは便利です。
ここで重要なこと。このようなブランド店へ行って買い物をしたらば、絶対にその紙袋を持ったまま、メトロやバスに乗ってはいけません。1秒ですりにとられると思います。彼らはプロ中のプロなんですから。複数で行動するでしょうし。カモになるだけです。なんならエルメスに頼んで、店までタクシーを呼んでもらうくらいが良いのです。ホテルまで直行しましょう。この奥様は、ディズニーランドの大きなミッキーのビニール手提げを持参して、エルメスの紙袋ごと入れて、外側からブランド品を買いましたのよ、と見えないようにされていて、情報通だなあと感心しました。
私は、冬のセールで娘にそのへんの街にあるキャロルという名前のお店でオーバーコートを購入して、真昼間メトロのプラットホームに立っていたら、すりに遭遇しました。背中から何かの気配がして、1mくらい右にずれたのです。それでも、ピューマのような気配がして、振り返って、後ろにベンチがあり、マダム2人が3人掛けに坐っているのを見て、その真ん中に飛び込み坐って、怪しい雰囲気の方を振り返ると、若い黒人が逃げるところでした。スニーカーを履いていて、音は全然しなかったのですが、何か、気配を感じたのです。フランス人は、「あなた、すりが後ろから狙ってますよ。」、なんて決して教えたりしません。すられる方が悪いと思うらしいです。Carollのロゴ入りのコートが入った紙袋とショルダーバッグ。バッグにはチェーンで財布を繋いでいて、財布だけ擦られないようにしていました。どちらも無事でホッとしました。後ろから狙われないように、壁際にあるベンチに座って待つのは正解です。
ある時、TGVの長距離切符を買う窓口で、私の順番が来たら、はち切れんばかりに太った財布がデーン!と窓口に置いてあり、瞬時に前の人の忘れ物とわかりました。慌てて振り向いて、その人を目で探して、30mくらい先を歩いているのを見つけ、大声で「マダ〜ム!!」と2回叫んだら、幸いその人が振り向いて、私の振っている手の先にある自分の財布を見て、走って戻って来られました。そんなに離れていても、私の視線を感じたのでしょうか。とても嬉しそうにMerci!と言われていたし、私も渡せて嬉しかったです。地方の方だったかも。
また別の時に、日帰り往復のTGVの切符をクレジットカードで購入するために渡したのに、窓口の人がカードを返すのを忘れていて、私も切符だけ受け取って、どこかまで歩いてからそれに気がついて、慌てて戻ったら、幸いカードは返してもらえました。長く現地に住んでいる日本人女性には、「その時忘れて後日行ったら、無い、と言われたかもよ。」と言われました。本当に気を緩めることができないのです。
他にもパリのとある小さい美術館のトイレの洗面で、とても気に入っていた、天使が4人ついているオリジナルの指輪をうっかり手を洗うときに外して置いて、忘れてきたことがあったのです。メトロに乗って、先のエルメスマダムと会って、「きゃー!指輪をトイレに忘れてきたっ!」と言ったら、「戻ってみたら?」と言われて、すっ飛んで戻ったのです。美術館の入り口で、守衛のおじさまに、「トイレに大事な指輪を忘れてきたから入れてくださいな!」と大慌てで言ったら、それこそマジックのように、その守衛さんが、「これかな?」とポケットから私の指輪を出して見せたのです。もう、それは嬉しくて、嬉しくて、感激しました。指輪のサイズは小さいし、私の背格好とピッタリと思われたんでしょうね。その場ですぐに指にはめて、お辞儀をしてMerci beaucoup!と言ったと思います。フランス人は、勘がいいと感じていました。きっと守衛さんも、「あ、この人だな。」と瞬時にわかったんでしょう。
そういうわけで、パリ以外のフランス観光をお勧めしますが、TGVが途中で平気で止まることも覚悟の上で。できたら、欧州の他の地域から、直接ニースとか南仏に飛行機で行った方が簡単かもしれないですね。アルザス地方なら、ドイツに入ってから、ドイツ側から列車でストラスブールへ行くとか。スイス側から入るとか。ジェレミーさんの動画にあるように、フランス人でさえ、移動に四苦八苦されるのですから。
路上でスマホを出さない。ブランド品のバッグや服を着て行かない。(シャネルやエルメス本店で、そこのスタッフに顧客だとアピールしたいなら、そこのブランド品の衣装を着る必要はあるかもしれません。サービス向上が期待できるので)あるレベル以上のホテルに泊まる。まさかの時のお金を腹巻き?等に持つなど、用心はして行った方が良いと思います。先の夫人も、すりだったか何だったか忘れましたが、カードも現金もなく、異国でまさかの現金10万円で帰ってこられたと体験談を話されたことがありました。
吉本ばななさんの著書で、日本のシャネル等の顧客は、常に毎シーズン新しいそのブランドの服を着ていないと、上流社会から、あそこの家は、もう買うお金がないから事業が下向きと見做されて、爪弾きに遭う。というようなことが書かれていてびっくりしたことがあります。私が聞いたこともない、ハイソな人々の実情。ただ好きだから買うんじゃなくて、これだけ買えるほど、お金が余っているのを周囲にアピールするためにしているらしいです。そのお金を慈善や寄付に使うという発想はないそうです。私は、単に、ブランドの鴨になっているだけではないの?と思ってしまいますが。どうせブランドなら、国内で、優秀な職人さんの作る着物や工芸品、檜の家の方が良くないですか?技術を絶やさないためにも。ルイヴィトンのロゴは、日本の家紋のパクリだと聞いていますし。
私自身はパスポートも切れているし、当面海外へ出ることはないだろうなと思っています。むしろ混んでいない時期に、ゆっくり国内訪問して楽しみたいです。
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名前も忘れた、パリ郊外の小さいお城と庭。このベンチのデザインがとてもおしゃれ。

こちらも趣があります。

大好きだったパンデピスは、モノプリで購入する5ユーロくらいのより、専門店の方が当然美味でした。これはストラスブールにて。
