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「阿片王 満州の夜と霧」

佐野真一著 新潮文庫 2008

 

日本民族満州からアムール川流域、キルギスからやって来たのだとしたら、満州国を建てようと計画した人々は、元の領地を取り戻す意図があったんでしょうか???

 

5本も電話を引いていた里見は、一体誰と電話していたのか。最後の和平工作が成立していたら、、、、。おそらく幾重にも、隠密同心が活躍していたのではないかしら。

 

p172 数十兆円の阿片の売り上げの半分を蒋介石に渡し、4分の1を王兆銘が取って日本占領地区の統治費用に使い、残りの4分の1の八分を軍部に納め、あとの2分を里見が取った。

というこの配分に驚く。
何よりも、里見は阿片を転がしているだけではなくて、あくまで阿片は手段。外交をして終戦工作をしていたところにあっと言わされました。

 

p177 第二次上海事変の戦闘は上海北方で膠着状態に陥り、日本軍は攻めあぐねていた。強行すればいたずらに犠牲が多くなるばかりなので、ここは外交交渉で行く他ないという結論になった。
軍は支那側に知り合いの多い里見に折衝役の白羽の矢を立ててきた。里見は伝手を求めてフランス租界で敵将と密かに会い、相応の大金を代償に支払うという条件で支那軍総退却の合意を取り付けた。

しかし、この約束に一抹の不安を感じた日本軍側は、代償金の前渡しを例の偽札で行おうと言い始めた。里見は烈火の如く怒り、軍首脳を怒鳴りつけた。
「何をいうか。これだけのことをのませておきながら、それに報いるのにニセ札とは何事か。そんなことで武士の一存が立つか」
里見のこの一言で信義は守られた。