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古代突厥族のことば

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留学先の二人の教授が、序文を書かれています。

東氏は、1985年に東京学芸大付属中学の教諭を定年退職後、3年間中国語を学んでから北京の中央民族学院に留学、ウイグル語、古代テュルク語、ロシア語、モンゴル語満州語を学ばれたのち、日本語は古代テュルク語に漢字を当てはめたものだという検証をされています。

突厥族が住んでいたのは、現在ロシア領になっているところが多く、古墳や碑文に関する論文はロシア語が多いので必要なのですね。

そもそもこの研究を定年後に始めた理由が、あの有名な江上波夫騎馬民族征服王朝説」に刺激を受け、日本語の起源は騎馬民族の言葉なのではないかという疑問を探求するためだったそうです。その結果、古代に日本に渡来した騎馬民族は、アジアの内陸、モンゴル高原バイカル湖近くに起源をもつテュルク(突厥)族であると確信され、この本を出版の運びとなられたそうです江上波夫説に刺激を受けて、小林惠子先生も突厥可汗から天皇になった例などをあげられています。言語からも、突厥族が日本に残した足跡を見ることができるのですね。

満州族ウイグル族は親しい間柄ですが、テュルク語とウイグル語もよく似ているのですね。日本語とトルコ語は、語順も同じだそうです。

例えば、

日本語「ちゃらんぽらん」=いいかげんでまとまりのないこと

ウイグル語では「チャラブラ」と言い、意味も同じ

日本語で「チャラにする」「チャラい」と俗語で言いますが、ウイグル語にも「チャラ」という言葉があり、なまはんか、中途半端、不徹底、不熱心、気持ちを集中していないなどの意味だそうです。

 

日本語「くすくす」=こっそり事をする、しのび笑いをする

ウイグル語「くすくすkus kus」ひそひそ話をする

こそこそ、もきっとウイグル語のクスクスから転化した言葉でしょうね。地方の方言にテュルク語が残っている例、万葉集などから例を引かれたりして、検証をされています。学術的ですが、興味深い内容です。

 

中国語の「取る」は、何を取るかによって、いちいち動詞が変わります。でも英語のtake、ドイツ語のnehmen、フランス語のprendreは、かなりテュルク語のtut- トルトと似ています。

如何に古代突厥族の影響が広範囲に言語に残ったか。バイカル湖付近には、日本人に瓜二つの人々が住んでいるらしいですし、キルギス人の顔も日本人によく似ているそうですが、言語までキルギスとは共通点があることを調べあげた著者に脱帽です。

 

この本を紹介していた「失われたミカドの秘紋」p221では、隋、唐、宋を建てたのは鮮卑族、元はモンゴル族、清は満州族鮮卑族含む)。唐は突厥族との他民族連合であったと書かれています。長安イスラム寺の清真寺(モスク)があったり、教会があったことも、国際都市であったことを思えば不思議なことではないですね。漢字を使っているから惑わされるのだと思いました。

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