日本語になっているドラマの一部もあって、少し見てみました。皇太后の陰謀で家族が国ごと振り回される話は、中国ドラマで頻出ですが、これはかなり陰湿。自分の病気を治すために実の息子の血が必要だったため、独身の皇帝は病気がちで、よく血を吐いて、血の気もないのですが、皇太后が自分の妹の公主を殺して、代わりに皇帝の恋人を身代わりにして、隣の国の王子に嫁に出したあたりから話が始まっていきます。最初から最後まで、皇太后とその部下に3つの国の王室メンバーが振り回されていく悲劇です。ヒロインは、母国でも嫁ぎ先の国でも、最後まで公主として生きることになります。嫁ぎ先では、生き別れた妹が彼女の影武者となります。
例えば日本だと織田信長の妹がお市の方となっていますが、妹ではなく愛人の一人であったという説もありますし、柴田勝家と自害はしていないで逃げたので、遠くでお市の墓と言われているものが発見されたと昔TVで見たことがあります。また「和宮様御留」有吉佐和子著という小説では、和宮は替え玉だったことになっています。鬼塚英昭著の本では、大正天皇の皇后は、明の公主で舟で武士に付き添われて亡命してきて、九条家の養女になってから婚姻したと書かれていました。さて本当かどうかはわかりません。
中国ドラマでは、影武者、替え玉なんて朝飯前。数千年前には南インドからの移民が多く来日したそうですし、ササン朝ペルシャ最後の皇太子も奄美大島に亡命してきていたことが日本書紀に書かれています。呉の国の王様が日本に亡命してきて、苗字は姫氏だった説がありますが、呉服と呼ばれるように、亡命者の一団が多くて影響を与えたのでしょう。明が滅亡した頃も、王室や宦官メンバー達が日本に亡命してきたそうです。愛親覚羅家の王族も、多くが香港、台湾、日本に亡命しています。実際に愛親覚羅家の二人の王女は、日本で日本語の著書を出版されていて、一人は京大教授。
日本ではあまり亡命者のルーツや歴史について学ぶことがありませんが、中国では刑罰によって遠隔地に飛ばされたり、誘拐で売り飛ばされたり、王族貴族でも宮廷の陰謀により、庶民に格下げされて流されたり、自分の子を孕んだ美人を王に献上したり、なんでもあり。だから中国ドラマを見ていると、時代設定や内容に疑問がある部分もありますが、ああ、日本もこんな感じだったのかもしれない、と気づきがあって、面白いです。
このドラマの最後はハッピーエンドではありますが、多くの肉親の犠牲があってのドラマなので、歌は全部もの悲しいものばかり。
「離舟」
「紅塵微燙」
「若雪」
「忘憂」
「心鎖」
「小至」
「天命」


