灼華「王爺、あの口がきけない奴隷の左手の鉄のフックは、鷹の爪のフックに似ていますか?」
定王「執剣に調査を依頼した。まだ戻ってこないことから、奴隷は逃げ出したのではないか。耶沐憬が彼をここに連れてきたが、今は行方不明だ。」
「なぜ耶沐憬は何もしないのでしょう。わざと奴隷を逃したのでは?彼は冷酷な人物です。」
「彼が隠された目的を持ってきたことはわかっている。彼が何もせずに傍観していたら、私はイライラするだろう。」
「王爺、酒宴に出席しますか?」
「もちろんだ。」
「でも深酒はすべきではありません。二日酔いのために薬を作りました。事前に食べておいて下さい。」
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耶沐憬は定王に何度も酒を勧めた。劉衍が普段通りに酒を飲む様子を見て、耶沐憬は彼の体調が回復したようだと感じ、妹の耶沐蓁と共に更に酒を勧めた。
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居合わせた慕灼華は、泥酔した定王を見つけ、すぐに駆け寄って支えた。
「どのくらい飲んだのですか?」
ふらふらだった定王を支えながら歩く二人だった。灼華に惹かれながらも、素直になれなかった定王が、酔って本心から行動してしまう。彼は灼華への想いを抑えきれず、木陰でキスをした。
驚きながらも喜びを隠せない慕灼華は、家に着くなり定王を執剣に任せると、足早に帰った。執剣は彼女の慌てぶりに首を傾げた。灼華はすぐに引き返し、二時間ごとに解毒薬を飲ませるよう指示した。
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灼華はベッドに横たわり、定王との時間を思い返して眠れなかった。


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翌朝、定王は目を覚ますと執剣に鉤爪の手について尋ね、啞奴の行方が掴めないことを知り、全力で捜索するよう命じた。灼華について尋ねると、執剣は何かやましいことがあったのではないかと仄めかした。普段は送迎を利用したがる彼女が、昨夜はまるで兎のように逃げて行ったからだ。
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定王「昨夜貴女は大丈夫だったか?本王は昨夜酔って何も覚えていない。」
灼華は少し落胆した様子で「忘れてしまったのですね。それもいいでしょう。」と呟いた。
「何を忘れたと言っているのですか?」
「昨日寝ていないから、忘れっぽいのです。」
彼女のやつれた顔を見て、一睡もしていないことに気づいた。
「昨日寝ていないなら、今日は休んで良い。」
定王の気遣いに、慕灼華は逆に「わざわざ私のクマを見に来たの?」と尋ねた。
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物陰に隠れていた啞奴は柔嘉公主を見つめていたが、子供に石を投げつけられ顔を負傷してしまう。物音に気づいた柔嘉公主は怪我をした啞奴を見つけ、すぐに済善堂へ連れて行き治療を受けさせた。啞奴は壁に掛けられた薛笑棠の肖像画をじっと見つめていた。
蔓児は、公主がどうしても外したがらないのだと説明した。啞奴は公主がこの絵を描いていた時の様子を思い出し、自分がその薛将軍であったことに気づいた。
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定王が来たのを遠目で見た灼華は、何度か彼を避けた。定王は執剣に、彼女が自分を避けているようだと話した。
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郭巨力は饅頭を買い終え戻ろうとしたところ、執墨に呼び止められた。執墨は彼女に食べ物を渡し、巨力はそれを食べて機嫌を良くした。
昨夜灼華が書いたメモの意味を尋ねると、執墨はそれが劉衍の名前だと教えた。巨力は慕灼華がなぜ王爷の名前を書いたのか不思議がり、執墨は微笑んで何も言わなかった。
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太后は佩蘭に、定王が自分に疑いを向けないよう、柔嘉公主を囮にして、蕗をおびき寄せて殺すように命令した。
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耶沐憬が小秦宮で酒を飲んでいると、黒いマントと帽子を被った背の高い女が来た。
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耶沐憬は皇帝劉俱に謁見して、両国の平和のためには結婚同盟、柔嘉公主を自分に嫁がせるしかないと言った。周次山大臣は、賛成した。孫大臣は、反対した。定王は、柔嘉公主を条件にするならば、南宸国は再び開戦も辞さない覚悟だと警告した。
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太后は柔嘉公主に、公主たるもの国益を考え、たとえ自分の幸せを犠牲にしても仕方がないと諭した。柔嘉公主は、自分の婚姻によって国が安泰になるなら、その運命を受け入れると毅然と答えた。
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灼華は心配になり、柔嘉公主を訪ねた。そこにいた耶沐蓁に挑発されたが、機転を利かせて切り抜けた。そして北涼使節団が、急いで帰り支度をしていたのを見た。
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大皇子「もし本宮が勝てば、あなたは皇姐を娶ることはできない。」
耶沐憬「よし」
大臣「大殿下、貴方はまだ怪我が治っていません。無謀にならないでください。」
大皇子「皇姐を外国へ嫁に行かせるくらいなら、死んだほうがましだ。」
「大皇子は足を怪我しているのだから私に任せて下さい」と沈驚鴻は名乗り出た。
沈「このような些事に大殿下が出ることはない。私が代わりに受けて立ちます。」
耶沐憬「よろしい。誰がやっても同じだ。自分は気にしない。」
沈驚鴻は耶沐憬に弓術勝負を挑み、目隠しをしたままで、3本とも的の中央に命中させた。
大臣「三王子の負けです」
耶沐憬「どちらも3本を中央の的に当てたのだ」と負けを認めず、引き分けだと主張した。
沈は公主に挨拶に行く。
公主「本宮は南宸公主だ。国境の平和のため、嫁に行くことは、もし平和が数年だとしても、辺境の兵士のためになる。沈大人、心配しなくとも良い。」
沈「公主、私の意見は違います。一人の犠牲は国を救います。和平は女性に値します。これは男性の屈辱です。」
公主「これは公主の宿命です。私は国に養われています。だから人々に報いるのです。」
沈「公主を犠牲にして平和を取り戻すなら、何のために宮廷があるのですか。」
公主「誰でも国のためには犠牲になるのです。なぜ公主はできないのですか。」
沈「なぜなら、同じでも違うからです。」
公主「何が違うのですか。」
沈(私にとっては違うのです。)

北涼国王女耶沐蓁、静安公主という名前で皇帝の義理の娘となっている

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灼華は避けていた定王の職場に行き、北涼の帰り支度のことを報告したら、一緒に行こうと言われた。
感想
定王に酔っ払って、女の子が欲しいの?産んであげます。と言った灼華に対して、幸せだと思った定王。灼華は翌朝さっぱり忘れていたけれど、定王はそんなに早く恋に落ちたんですね。普段深酒をしない定王が、酔って抑えていた本心が出てしまった。似たもの同士です。定王にとっても、灼華にとっても初恋なんですね。