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「灼灼風流」第七話

 

科挙試験当日の朝、馬車に揺られる二人。

「停車。あとどのくらいか?」

「定京まであと数時間かかります。」

「執墨、慕姑娘の侍女に筆記具を試験場入口に届けさせなさい。」

「執剣、本王はお前の馬で行く。」

「下車するぞ。」

定王は、灼華を馬で自ら試験会場まで送り届けた。

「あれは定王だ。女子受験者を送ってきた。」

「二人に何か関係があるのだろうか。」

「そんなわけがない。定王は試験官の一人でもある。」

定王の令牌は、定という文字は読めますが、その下は画面が馬上のシーンで揺れていて読めません。

定王は馬から降りて、手を差し出して、彼女を馬から下ろした。

「ありがとうございました。王爺」

「礼は必要ない。本王は借りがあると思いたくないからしたことだ。」

「王爺、言いたいことがあります。」彼女は王爺を受験生から少し離れたところに引っ張って

「貴方はもう若くはありません。父親が貴方の年齢の時には既に子供が何人もいました。私は腕の良い医師です。貴方は英雄ですし、尊敬される才能がおありです。私は何か貴方のお役に立ちたいです。慕家には父のたくさんの媚薬処方があります。もしも貴方が必要な時にはお安く治療します。」

定王はびっくりしてから「ふん!」と言って彼女を睨みつけて、馬に乗って立ち去った。

「親切で言ったのに、定王殿下はむかついていたわ。」

郭巨力は「安く」という言葉が劉衍の気に障ったのではないかと推測した。

沈驚鴻は灼華に近づき、柔嘉公主に認められた人物ならば、きっと並外れた才能の持ち主だろうと話しかけた。「柔嘉公主が話していた慕さんは貴女のことですか。」

このやり取りを聞いた周りの受験生たちは、灼華の素性に何かあるのではないかと噂し始めた。

医師「陛下、養生以外に定王の再発は大丈夫です。」

皇帝「注意深く診断するべきです。隠れた病を残すべきではない。」

定王「皇兄、趙医師は技術があります。脈を見るのに間違いはないでしょう。」

皇帝「遊走針出現のことだが、報告があった。杜重Du Chongに既に命令したが、3年前からの暗工のメンバーのリストを出させたので渡す。暗工の中にスパイがいたとは思いもしなかった。」と咳き込んだ。

定王「皇兄、落ち着いて下さい。健康を害さないで下さい。」

皇帝「大丈夫だ。天同山に行きたいと言ったとき、心配していた。幸い、自分が送った男達は間に合った。」

定王「この混乱の天下で、北涼人は自分たちを狙っている。臣弟を殺したいと思う人物は少なくない。」

皇帝「背後でお前を殺そうとしている者を朕は絶対許さない。心配するな。」

「皇兄、ご安心下さい。私は長く生きます。」

「それを聞いて嬉しい。安全で平安なことを望んでいる。」

太后は元気ですか。」

「朕は太后には何も話していない。母には何も言わないでくれないか。」

「ご安心ください、それなら私は太后を邪魔しません。」

「そうだ、お前は試験官だったな。もう会場へ行かないと。」

「はい。」

(もし太后が担馬河の戦いに関与していたら、私は確実な証拠が必要だ。皇帝の心を傷つけるわけにはいかない。袁副将が死んで5年が経つのに、湖の小島に空の墓を建てた者がいる。それに雲想月が父親の墓を建てたのだろうか?花名は辿りやすい。誰かの設計と指導だろう。)定王は太后の関与を疑い、執剣に袁副将の家と私物を改めて調べるよう命じた。

灼華は自信を持って試験問題に取り組み、落ち著いて解答を書き進めた。試験会場に定王が少し遅れて到着した。

大皇子劉琛「今回の女子受験生は貴族が中心だが先駆的な試みだ。皇叔の功労だ。ただ名門一族を考えれば地方卒業者の女挙人が合格するのは難しいはずだ。貢士に合格するのは多くないと話した。私はいつも貴方の行動に賛成します。でもなぜ女性の科挙受験を認めたのですか?女性はたとえ良い成績を収めても、結局は家に帰って夫に仕え、子供を育てるだけて国政には参加できなかった。元光皇后の治世中に女子にも科挙受験を許可することは始まったが結果は同じだ。」

定王劉衍「誰もが通れる道ではないが、別の道を与えるのと、最初から締め出すのとは違う。誰もがそれぞれの望みを持っています。読書は私たちにとって有益なだけです。同じ桃の木でも無視する人もいるし、啓発される人もいる。繊細さに共感する人もいるし、素晴らしさを評価する人もいる。役人になろうとも、勉強して誰かの妻や母になろうとも、結局彼らは自分が貢献したものを収穫するのだ。」

大皇子「皇叔にとって桃の木とは何ですか?」

定王「ある詩を思い出す。桃之夭夭 灼灼其華 桃の花が優雅に咲き誇ります。」

灼華は解答を書き進める中で、巡回中の定王と目が合った。

劉琛は定王の腰の玉佩を何度もねだっていて、「いつくれるのか」と尋ねた。定王は玉佩など他にいくらでもあると言った。灼華が合格したら、その玉佩を贈ると約束したからだ。

試験が終わり、採点官は一字一句完璧な答案に驚嘆した。劉琛と定王は、その答案が沈のものかどうかを賭け、定王の玉佩を賭け金とした。劉琛は美味しいお酒を賭け、大皇子の負けとなった。沈と肩を並べた受験生がもう一人いた。定王は筆跡で、それが灼華だと知っていた。

第二の詩の試験が始まり、灼華は得意分野ではないが、師の教えに従い、できる限り設問に沿って解答を書き上げた。

「黄色い花は金のように散る。」

試験後、多くの受験生が設問から逸れた解答を書いていた中、ごく少数の受験生だけが的確に解答していた。夜に行われた試験では、多くの受験生が睡魔に襲われる中、沈驚鴻は柔嘉公主から贈られた文房具を眺めていた。

定王「ほとんどの受験生は、菊だと解釈した。緑の枝は緑のままだが、黄色い花は金のように散る。という詩からきていることに気がついていません。ここでいう黄色い花とは油菜の花のことです。受験生が秋の菊と間違えたら、落選です。」

第三の試験、政策に関する試験が始まり、題は、国境侵入者の鎮圧と住民の安定について。試験が終わり、郭巨力が灼華を迎えに来たが、灼華の体からは臭い臭いがした。

「試験の3日前に熱を出したの。」

巨力「試験はどうでしたか。」

「結果はどうあれ全力を尽くしたわ。今はただ美味しいものを食べたい。」

試験官「この答案は、辺境政策での平和を優先する施策について書いています。しかし読んでみると、道理にかなっていると思います。」

定王は筆跡ですぐわかった。

(これは慕灼華の答案だ。政策を大胆に書いている。でもある程度の意味はあります。

慕灼華は平和を優先する考えを書いた。戦争は人々を傷つけ、費用がかかることは正しい。この方法は実現可能かもしれない。)

定王は平和こそが相手に服従の機会を与えるものだと考え、慕灼華の意見を高く評価する。

大皇子「この候補者は北涼人か東夏人か?この人は部外者の立場に立っている。」

”南宸は西域と同じように儒教の教えを採用して、他民族を啓発し、それを国教とすべきである。彼らに対して発言する機会を得るために。”

「それなら今まで戦争してきた意味はなんだ?」と大皇子は怒る。

試験官たち「この手書きの文字を見たことがあります。1番目の完璧な答案を書いた受験生です。この候補者は昨日下手な詩を書きました。この候補者は記憶力が良く、洞察力に優れている。」

「沈驚鴻の良いライバルとなるだろう。」

宋韻が来た。「貴女に12個香の香袋を注文したいと思っていたの。貴女の医療の腕があれば役人にならなくても自立して生きていける。何があっても貴女の人生を生きていってください。」

皇帝劉俱は定王に、「3年前からの暗工のメンバーのリストを出させたので渡すよ。 暗工の中にスパイがいたとは思いもしなかった。」と咳き込んだ。

「天同山に行きたいと言ったとき、心配していた。幸い、自分が送った男達は間に合った。」

定王「北涼人は自分たちを狙っている。多くの人物が自分の命を狙っている。安心してください、自分は長く生きます。」

定王は太后は元気か尋ねたが、皇帝は太后には何も話していないと答えた。

皇帝は祖廟で柔嘉公主と会い、「蕗将軍が死んで5年経つ。今後どんな予定でいるのか?」と尋ねた。彼女は父のそばにいたいと答えた。

太后は定王が自ら令牌を持って灼華を試験会場に送ったことを知り、劉俱が定王に手出ししないよう釘を刺しているにも関わらず、自らに疑いがかかる前に手を打たねばならないと考えた。侍女に命じ、灼華の素性を詳しく調べるよう指示した。

合格発表の日、灼華は平静を装っていたが、内心は焦燥感に駆られていた。巨力は灼華を榜を見に行こうと誘ったが、灼華は首を横に振った。

 

感想

定王が会試の3日前に天同山へ死体検分に連れて行ったのは、もしかすると、確実に会試を受けさせてあげるためだったのかも?とは思います。執剣が、「一石二鳥ですね」と言っていたのですが、それが会試前に連れ出すことで、早く死体検分もできるし、彼女は安全という意味での一石二鳥なのかは、はっきりしません。

江南の周執事が5人も手下を連れて、灼華を誘拐もどきで連れて帰ろうとしていたのを定王は見ていました。自分と一緒であれば、彼女の身は安全です。ただ、暗殺団に襲われなければ、試験前日には帰宅できたはずなので、そうなると彼女が実際に邪魔されずに受験できたかどうか保証はないわけですが。

暗殺団に襲われたことは、定王の計画には予想外だったけれど、同時に彼女が定王の敵ではないと身をもってわかったことは収穫だったかも。

「礼を言う必要はない。本王は借りを作りたくないからだ。」と言ったのは、やはり初対面で命を救ってもらったことと、彼女が遊女の殺人に関して、定王がいた、などと地方裁判所で無用の証言をしなかった慎重さに対してだと思います。

お寺で灼華に頼まれて、500タールという大金もあげてはいますが、命を救ってもらったことはお金には替えられない。そこで、今回暗殺者から守ったこと、旅館に泊まってまで看病したことや、確実に自ら試験会場に時間通りに連れて行ったことは、最後まで責任を持つ、彼のポリシーが現れていると思います。

そして、会試で灼華がトップの答案を書いた時点で、おそらく兄皇帝に、灼華が出生地と名前を変えている罪を免除してもらいたいと直訴しています。出生地を変えて申告することが重罪だったらしいです。

 

ヘアスタイルが可愛い。

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