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「韃靼の馬」下巻

やっぱり気になって読みました。因果というか、著者が故意にこういう設定を好んでいるのかわかりませんが。本当にあったことかと錯覚するほど、よく描写されていると思います。

阿比留克人は、李順之の3歳一人娘を人攫いから救う。

阿比留克人は、料理人王勇をジャンク船清和号から海に飛び込んで救う。

綱渡曲芸師リョウハンは、阿比留克人の命を3回救う。

一度目、柳成一に肩を切られて銀の道の先で気絶していたところを運ぶ

二度目、王勇と海で救いを求めていた際に、綱を投げて二人を救う。

三度目、阿比留克人の身代わりとなって、殺される。

李順之は、亡命してきた克人と、新しく陶工として窯を作る。柳成一の息子、徐青が克人を短銃で仇討ちとして暗殺するのを未然に防ぐ。

阿比留克人と李順之は、大人の友情で結ばれていて、義理の父と婿でもあります。厳しい寒さや自然、匪賊に立ち向かううちに、短銃の腕がプロの徐青も、片腕となって仲間になる。この三人が、ハーンの誘拐された二人の娘の命を急襲で救ったことで、ハーンが門外不出の馬を三頭、譲ってくれたという展開になります。

ハーンは、娘の命の恩人である三人のうち、独身である徐青を娘婿に欲しいと言い出したのですが、咄嗟に克人は、自分の息子だからできない、と断ったところがなかなか。ハーンもそれなら仕方がない、とあっさり諦める。

元は徐青は日本人の血が4分の1入っていることから、日本に残ることにしたのです。対馬に移住して、祖父の苗字をもらって、柳川調行と改めたことで終わりになっています。

義経が北海道経由でシベリアを通ってチンギス・ハーンになった説がありますが、確か一人で逃げたのではなく、一群となって旅をしたのだったと思います。一人二生だったかしら、別の国、別の名前で、亡命して生きた人って意外といそうですね。信長も実は死んでいなくて、フィリピン経由でイタリアへ。バチカンで二位の位置まで上り詰めたという説もありましたっけ。いつイタリア語やラテン語を勉強したのでしょうね。