好きなもの、心惹かれるもの

本、音楽、陶器、織物、手芸品をご紹介します。

古代文字資料館

古代文字資料館(旧サイト)

http://www.for.aichi-pu.ac.jp/museum/p.html

(新サイト)

kodaimoji.her.jp

がとても面白いです。古代文字の学術的な論文や対談もありますが、エッセイも楽しい。

中国語の漫才を大阪弁で説明してくださっています。

 

珍しい形の印章。

パスパ文字 モンゴル語 印章

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「印記」

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www.for.aichi-pu.ac.jp

このいろいろな話、というコラムはずっと繋がっていて、この話だけのURLがありませんので、上記のページから この漫才の話だけこちらに。

 

舞台で聞いた中国語19……廃話!(アホ言え!)
 いつも演劇に注目しているが、ときどき目先を変えて、お笑いコント(小品)や漫才(相声)、 テレビドラマ(電視劇)なども見ている。演劇と違って、コントや漫才はウェブ上で舞台の録画がたくさん公開されていて 手軽に見ることができ、大変便利だ。

 最近は漫才が気に入っている。漫才師(相声演員)を他によく知らない、というのもあるが、 有名な郭徳綱・于謙のコンビがやはりおもしろい。郭徳綱は貫録のある外見ながら、1973年生まれ(天津出身)である。 無名の下積み時代が長かったようだが、今では主宰する徳雲社という漫才社団の人気も高く、 多くの弟子や若手芸人を抱えて漫才活動を展開している。ホームページによると、 徳雲社は北京市内6か所の茶園式劇場を拠点にする他、南京、黒竜江西安にも劇場がある。 若手が数多く出演する毎日の定期公演は、チケットが20~120元程度と気軽に足を運べる価格だ。 ただ、大御所の郭徳綱となるとチケットは価格もさることながら、入手自体まず困難のようである。


 郭徳綱は漫才(対口相声)と講談(単口相声、評書)どちらもやるが、于謙のツッコミが絶妙なので、 やはり掛合漫才がおもしろい。日本の漫才と同じように、中国もボケとツッコミの役割がはっきりとある。 ただ、中国はボケの方が圧倒的に発話量が多い。滔々と話すボケに対し、微妙な間合いをとらえて合いの手と切り返しを入れ、 ボケを引き立てるのがツッコミの役割のようだ。

 つい話を引っ張っていくボケの方を熱心に聞いてしまうが、ツッコミの言葉をよく聞くと、こちらもなかなかおもしろい。 たとえば、「廃話!」「神経病!」「胡説八道!」「甚麼玩意儿!」などである。 こうした中国語の語気はかなり鋭く下町風だと思うのだが、一つずつ直訳すると、「くだらないことを!」「頭がおかしい!」 「でたらめを言っている!」「なんという奴だ!」というやや調子が狂う日本語になってしまう。意訳はまとめて、 「なんでやねん!」「何ぬかしとんねん!」「アホ言え!」「待たんかい!」「どないやねん!」 などといったお決まりのフレーズが相当するだろうか。 

 他にも、「甚麼乱七八糟的!」(何わけのわからないことを!)、「甚麼毛病!」(それおかしいでしょ!)、 「好好儿説話!」(ちゃんと言いなさい!)、「有完没完!」(いい加減にしろ!)等々、逐一拾っていけばまだまだある。 これらは日常生活の文脈に持ってくるとただの喧嘩になってしまうから、そう使う機会はなさそうだ。が、もちろん相手を見つつだが、 少し不満を表明したいときなどには使えるかもしれないな、とひそかに覚えておこうと考えている。
[2016.4.19 榊原真理子]