ひすいこたろう著 祥伝社黄金文庫
字も大きく読みやすい本です。じわ〜んとくるものがあります。短いエッセイが集められていますが、どれも、ものの見方を反対側から見てみる、という短編です。例えば倒産とか、もうダメだ、という事態に、ピンチはチャンス、などと思える人が、どれだけいることか。それを、逆転の発想で乗り越えた人のエピソードなど。
中でも私が気に入ったのが、インドの王様と家臣アシュタバクラのエピソードです。
いつでも王様に助言を求められると、「起こることは全て、最高でございます。」と答えた家臣。ある時、王様が怪我をしてしまいます。他の家臣に、どう思う?と聞かれ、アシュタバクラはいつものように、「起こることは全て、最高でございます」と答えたところ、他の家臣たちが王様に告げ口をして、牢屋入りになってしまいます。ところが狩りに出かけた王様が、人食い部族に捕まり、生贄の儀式で火をつけられる寸前、手に傷があるのを見咎められて、無罪放免になったのです。この部族は、傷物は生贄にできないしきたりがあったためです。無事に戻った王様は、すぐさまアシュタバクラを牢屋から出して謝りました。するとアシュタバクラ曰く、王様に牢屋に入れられたお陰で、普段はいつも狩りのお供をする自分が生贄になったはずが、命が助かりました。だから人生で起こることは、本当にすべて最高なのです。
童話のようなお話ですね。確かに、日々自分が期待したことが、予想と違った展開になった場合、腹が立ったりします。ジタバタとなんで?と思ったり。それを、これは別のもっと良いことがあるから、今回はやめておけ、ということなのだ、と理解して、パッとあっさり切り替える。気持ちを切り替えて、それは取り敢えずペンディングにしておいて、別のことをしているうちに、もっと良い展開が向こうからやってきたりするのだそうです。
この本のあとがきを書いているのが、誰あろう、古田真一さんでした。そこには赤裸々に、本来は保険のセールスをする事業主でありながら、紆余曲折あり、ふぐやのオーナーにもなった彼が、ふぐの肝の件で逮捕され、服役するハメになった顛末が詳細に書かれていて、これがまた驚くべきストーリーなのです。そして、その服役中に読んだ奥様の差し入れ本、逆転の発想を書いた(ひすいこたろう著 この文庫になる前の「ものの見方検定」)のおかげで、出所後、なんと彼は保険セールス日本一に二年連続輝き、月収は1億を超えるとか。セールスでこれを達成したのではなく、1日3人を喜ばせる、ということをしていたら、こうなったそうです。この数字になったのは、ある企業の会長さんに「あんた、おもろいなぁ。」と一度会社に来るように言われ、法人の契約をその会長さんはじめ、会長さんの紹介で次々もらった結果だそうです。なかなかすごい人だなと思いました。というのも、スピリチュアル本はわんさか出版されていますが、ここまで徹底して実行して、人生を変えて行った方も珍しいと思うので。変えて行ったというか、古田さんがイメージしたことは、予祝でもあり、先にそうなる、と喜んで暮らしていたら(刑務所の二人部屋の中で)、後から続々と富も名声もやってきたわけです。ふぐやには毎日400~500人が、コロナをものともせず、片田舎の古い屋敷にやって来られるそうです。MACOさんの、宇宙は喜びのエネルギーで生きる人を好む、という話も納得の方ですね。