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"Das Doppelte Lottchen"

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有名なエーリヒ・ケストナーの同名児童書の映画化で、1949年に出版され、1950年に撮影されました。その後も何度か現代版がカラーでドラマや映画になっていますが、この最初の映画が1番原作に近い雰囲気が出ていて好きです。どうやら最初から映画にすることが決まっていて、この本はシナリオだったらしいです。

「二人のロッテ」という題名で、高橋健二氏が翻訳されたものが秀逸です。高橋氏は、直接エーリヒ・ケストナーと親交がありました。ケストナーの妻の名前はルイーゼ・ロッテ。妻に死ぬまで内緒だったのが、スイス在住の27歳年下の愛人と一人息子。

ケストナーの児童書は、遠くに住む息子に対しての自分の存在証明でもあり、また息子への遺産でもあったのですね。息子のために書いているから、筆も進むし、心情も主人公などに投影される。父とはこのような育ちをして、このような価値観を持った男だ、と息子に伝えているような。この映画の1番最初に配役が音楽と共に出てきて、そのあとすぐに、エーリヒ・ケストナーが話しかけています。思っていたよりずっとこの時は若くて、痩せています。27歳年下の女性を魅了するからには、どんな感じの人だったのかしら?と思っていたので、話している生前の姿と声が聞けて、満足です。1950年の映画では、かなり忠実に本を再現していますが、本よりストーリーを端折っているのが残念。

高橋氏の書かれたケストナーの生涯の本では、ルイーゼ・ロッテは、遺産の半分がスイスの愛人と息子に行ったことをカンカンに怒っていたとか。そりゃまあそうでしょうね。ナチスに狙われていたユダヤ人の夫を助けた糟糠の妻ですしね。でも妻子へ残さないのも変ですしね。

飛ぶ教室」「二人のロッテ」は特に人気があるのもわかります。やはりかなりケストナー本人を登場人物に投影させていますものね。

この料理の場面だけは、動画の中には出てきませんでした。