今まで渡辺茂夫という天才バイオリニストについて、名前すら知りませんでした。７歳頃弾いたらしい、この「歌の翼に」、を今朝聴いて、ハイフェッツよりうまいかも？二人の共演を聴いてみたいと思ったのですが、なんと、二人は邂逅していたんですね。
渡辺家と親交のあった夫人が、ハイフェッツに彼の才能を聞いて欲しいと思って、ホームパーティにハイフェッツと当時１３歳頃の渡辺茂夫を呼んで、二人が互いにピアノとバイオリンで演奏したことから、オーディションも弟子も取らないハイフェッツが、あの子は100年に一人の才能だから、今すぐジュリアード音楽院へ入れるべき、と動いたのだそうです。バイオリニストでもあった母も一緒に渡米できたら、全然結果は違っていたでしょうね。
その結果は、非常に悲しいことになりました。ハイフェッツの晩年、音大のマスターコースに、一人だけ日本人女性の生徒の名前がありましたが、ハイフェッツとしても才能を結果として潰してしまったことに後悔の念があったのかもしれないですね。五嶋みどりさんも個人的な事情（母の不倫相手がジュリアードの教授の助手をしていた）でジュリアード音楽院を自主退学していますが、みどりさんは一人きりで、渡米した訳ではありませんでした。１３歳であの時代に教授宅にホームステイはきつかったでしょう。
