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植え髪太子像

兵庫県加古川町 鶴林寺所蔵の木造聖徳太子立像(もくぞうしょうとくたいしりゅうぞう)です。

小林惠子(やすこ)元岡山大学助教授が、真ん中分けをした、腰まであるヘアスタイルは、遊牧騎馬民族の可汗のみに許された髪型で、少し赤茶色の髪の色であると書かれていました。この写真を、どこで拾ったか忘れてしまいましたが、鮮明なカラー写真であることが珍しいのです。普通は、ネットではこの像の鮮明な写真が探せないのです。法隆寺秘仏であった救世観音像と合わせて、聖徳太子の姿を写したものらしく、180cmの長身で、彫りの深いイケメンであったことは間違いありませんね。

材質及び技法

木造彩色、寄木造、玉眼

寸法

像高82センチメートル

時代

鎌倉時代/13-14世紀

所有者及び所在地

鶴林寺加古川町北在家424)所蔵

指定年月日

平成31年3月12日県指定(平成30年3月2日市指定)

解説

 鶴林寺聖徳太子信仰の隆盛を示している本像は、聖徳太子作と伝えられ、また太子の遺髪が植えられていると伝えられていることから、植え髪(うえがみ)の太子像と呼ばれています。
 永享8(1436)年の墨書のある重要文化財の髹漆厨子(きゅうしつずし)の中に安置されているもので、聖徳太子が16歳の時に父の用明天皇の病気平癒(ゆ)を祈願した姿をしています。
 玉眼を嵌入する寄木造の全身彩色の像で、頭部に実物の髪が貼り付けられており、上半身に袖無しの衫(さん)、下半身に朱色の大口袴(はかま)という下衣の姿に造っており、実物の上衣を着せることを想定した数少ない裸形着装像(らぎょうちゃくそうぞう)です。
 中世の肖像彫刻の特徴をよく示し、鶴林寺聖徳太子信仰の隆盛を伝えるものです。彫刻史上意義があるものとして、昨年度に市指定文化財に指定されたものです。このたび、兵庫県文化財保護審議会の審議を経て、県指定文化財に指定されました。
 もとは国宝の太子堂のなかに祀られていましたが、現在は髹漆厨子とともに宝物館で保管されています。秘仏のため通常は拝観できませんが、3月下旬に行われる太子会式など特別な日に開帳されています。