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法隆寺の写真集

四十年ほど前に訪れた法隆寺のパンフレット。撮影 小川光三となっています。モノクロ写真ばかりです。中宮寺弥勒菩薩像が、なんと言っても可愛らしいので、外せません。これは間人皇后を映した像なのでしょうか。ヘアスタイルが可愛いですし、光背のお花も可愛い。表情がとても柔らかで、美人というよりは、野に咲く可憐な花のような女性です。

そもそも法隆寺五重塔は、九州太宰府観世音寺から移築された、という建築家の著書があるくらいですから、謎に包まれたお寺なのです。

生前の聖徳太子を映したと言われる救世観音像。唐草模様の透かし彫りが、どこまでも優美ですが、ギリシャっぽい連続模様が光背に彫られていますね。

橘三千代念持仏(藤原不比等の妻)

押出仏

伎楽面

ピエロと言われたら、現代でも全く通用するお面ですね。全く古臭さを感じません。

百万塔

称徳天皇が、770年に天下太平を祈願して、作られた三重の塔。印刷物として世界最古の陀羅尼経が収められている。と書かれているのですが、パーリ語?日本語?神代文字?何語で書かれているのか、説明してありません。

このヘアスタイル、なんとなく長安のファッションですね。

まるで洞窟の中にいるかのような錯覚に陥ります。

 

 

九面観音像

他の法隆寺の像と、これだけ顔の雰囲気が全然違います。唐から719年に請来したという記録がある国宝。

か弱い感じがします。光背には、死んだ蘇我馬子のために作られたと書かれているとか。馬子のイメージと全然違うお顔ですね。

釈迦三尊像

脇侍のお二人の手には、玉がありますよね。これは何でしょうね?冠の形が、救世観音とよく似ていて、てっぺんには、三日月と丸い玉があるのです。

中央の仏様の左肩のあたりに、蓮の蕾のような彫りがありますが、これがなんだかギリシャ風なんですよね。また中央の仏様の光背の葉っぱの連続模様も、ギリシャ風だと感じます。

法隆寺の回廊の柱が、エンタシスと呼ばれる、ギリシャ神殿風の、真ん中が膨らんだタイプであることは有名ですが、あちらこちらに、ギリシャ風のテイストが隠されているのが、聖徳太子を語っているのではないかと思っています。細かい装飾を注意深く見ていくと、仏教美術と思っていたものが、あれれ?この紋様はギリシャだよね?と思うものがあって、面白いです。

つまり、小林惠子先生の仮説のように、聖徳太子と呼ばれている人物は、突厥可汗、達頭タルドゥであり、またササン朝ペルシャのシャフリバザール将軍でもあったならば、ギリシャ風の飾りがあったり、ベッドで寝ていたり、チーズを食していても全然おかしくないわけです。仮説によれば、太子は日本で亡くなってはいなくて、盟友のペルシャ王を助けに、北の草原ルートを通って、日本から船で脱出して、もう帰っては来なかった。とのことです。

このパンフレットにはありませんが、ちょっとした、塔の屋根からぶら下がる、透かし彫りの飾りなども、皆ギリシャ風だなと感じるものがたくさんあります。