以前渡辺玲さんの「カレーな薬膳」を購入して、写真がほぼないので、とても初心者にはわかりずらかったことを書きましたが、なぜか今日になって色々見つけました。
工程にちなんだティップスも見逃せない!
カレー伝道師が教えるチキンカレーのレシピ
【材料】
ベース(先ほどのカレーベースのレシピを参照)……500g
皮なし鶏もも(一口大にカット)……400~500g
トマト(大きめの角切り)……1/2個
パクチー……大さじ2
ガラムマサラ……小さじ1
【作り方】
1.カレーベースをあたためる
底の厚い鍋かフライパンを用意し、ベースを中火であたためる。
2.鶏肉に火を通す
カレーベースがグツグツしてきたら、鶏もも肉を加えてなじませる。
「冷たいベースに入れると臭みが出てしまうので、温めてから加えるようにしましょう。さっぱり味が好みであれば、繊維を切ったそぎ切りの鶏肉を使うといいですね」(渡辺)
3.肉汁を利用して煮込む
弱火にして蓋をする。肉汁が出るので水分は加えなくて構わない。焦げそうであれば、少量の水を加える。焦げないように注意しよう。
4.フレッシュトマトを加える
鶏肉を触ってみて、弾力があったら火が通っている証拠。トマトを加える。
「水ではなくトマトを加えるのがポイント。ホールトマトでも構いませんが、フレッシュなものを入れると、ナチュラルな風味が加わり、よりいいですね」(渡辺)
5.ガラムマサラで風味を足す
ガラムマサラを加え、さっと混ぜてなじませる。
「インパクトがあるので、野菜や豆カレーの場合はごく少量にしましょう」(渡辺)
6.パクチーを混ぜて完成
火を止めて、パクチーの葉を混ぜれば完成。好みで散らしても。
基本のカレーベースがあるだけで、北インド風チキンカレーが簡単に作れる。カレーベースはタッパーかバットに入れて冷蔵庫で一週間保存可能。香りが落ちてくるので理想の保存期間は3~4日間だ。使用するとき、スパイスを足してもOK。仕上げに欠かせないガラムマサラ。渡辺さんにオススメの作り方を教わった。
ガラムマサラの配合
- クミンシード……大さじ4
- コリアンダーシード……大さじ2
- シナモンスティック……大さじ1
- クローブ……大さじ1
- カルダモン……大さじ1
- フェンネルシード……大さじ1
- ブラックペッパー……大さじ1
- ベイリーフ……4枚
ガラムマサラの作り方
フライパンを弱火にかけ、スパイスを投入。全体が乾燥してくるまで約3分ほど乾煎りする。粗熱が取れてきたら、フードプロセッサーやミルサーで粗く挽けば完成。半年はもつ。重要なのが、スパイスの配合とカレーベース作りだ。チキンカレーの作り方を伝授したが、この2点をしっかりとおさえて色々なカレーのアレンジに挑戦しよう。
ガラムマサラとは?
インドで生まれた最強のミックススパイス
「スパイスとハーブの芸術」と称されるカレーの出来を左右するといわれるのが、ミックススパイス「ガラムマサラ」だ。家庭や店によってスパイスのチョイスや配合は千差万別。和食でたとえれば出汁のような、料理の全体の印象を決める重要なポジションといえるだろう。
ガラムマサラは北インドで最もポピュラー
基本のスパイスとして知られているガラムマサラは、インド全域というより実は北インドで最もポピュラーなミックススパイスだ。北インドパンジャブ地方が発祥のナンやタンドリーチキンなどに代表されるタンドール料理の認知度が日本では高いのは、そうした背景がある。
ガラムマサラの使い方
ガラムマサラは、大手スパイスメーカーからそれぞれ発売されており、香辛料の専門店も独自ブレンドを販売している。手軽に手に入るものの、どう使ったらよいのか分からないという人も多いのではないだろうか?主な使い方を見ていこう。
1.カレーのベース作りに
肉や野菜など具材を入れて煮込む前のベースづくりの段階で他のスパイスとともに投入する。ガラムマサラだけでカレーにはならない。玉ねぎやニンニク、ショウガを炒め、ガラムマサラのほかターメリックなど各種スパイスを加え、さらにトマトや乳製品を加えて煮込み、ベースを作っていくのが基本の流れだ。
2.カレーの仕上げに。カレーにかけるのも有効!
具材を入れて煮込む段階で投入する方法も。パウダーは香りが飛びやすいので、香りを大事にしたい場合に特に有効だ。普段の家のカレーにプラスするという方法。ルウを使った家のカレーが激変するのでぜひ気軽に試してみてほしい。本格的なスパイスカレーも煮込んで時間が経ってしまうと香りがどんどん飛んでしまうからガラムマサラを数匙投入し、風味の豊かさを取り戻すというわけだ。
ガラムマサラを作ってみよう。必要なものは、ホールの各種スパイスとフライパン、ミルのみ。スパイスは、香りの抜けていない鮮度・保存状態の良いものが望ましいのは言うまでもない。
料理研究家・渡辺玲さんに教わった配合・レシピ
渡辺玲さんのガラムマサラの作り方を押さえておきたい。
渡辺 玲
クッキングスタジオ『サザンスパイス(外部リンク)』主宰。カレーについての執筆、講習、メニュー開発など幅広く活躍中。『スパイスの黄金比率で作るはじめての本格カレー』(ナツメ社)など著書多数。
【ガラムマサラの配合】
クミンシード……大さじ4
コリアンダーシード……大さじ2
シナモンスティック……大さじ1
クローブ……大さじ1
カルダモン……大さじ1
フェンネルシード……大さじ1
ブラックペッパー……大さじ1
ベイリーフ……4枚
【ガラムマサラの作り方】
フライパンを極弱火にかけ、全体が乾燥するまで約3分乾煎りする。粗熱が取れたらミルサーやミキサーで挽いて、粗い状態で完成。約半年間保存できる。
渡辺さん曰く、スパイスの比率にひとつの正解はないという。
「スパイスの魅力は、その自由さ。基本の構成を理解したら、あとは足したり引いたり、好みでアレンジを加えて、“自分のスパイス”を考えるのを楽しんで下さい」とのこと。
タイプ別4ブレンド
自由にブレンド、といってもそれぞれのスパイスの特性がつかめていない状態でのチャレンジは不安が大きい。
「スパイスは3種類以上を掛け合わせることで、互いの凸凹を補完し合うマスキング効果を生み出せます。様々な配合を試して、使い勝手の良い、自分好みのブレンドに辿り着いて欲しいですね」と語る『香辛堂』店主勝又聖雄氏が、配合の妙が味わえる4種類のガラムマサラを提案してくれた。自分好みのバランスを探してみよう!
1. 辛さゼロの基本ブレンド
手持ちのスパイスの種類が少なくても作れてしまう、オーソドックスなガラムマサラは様々なカレーのベースとして活躍する。こちらも辛味成分はブラックペッパーのみ。
2. クセの少ない初心者向けブレンド
ブラックペッパーが少々ピリッとするだけで唐辛子系の辛味はなく、子どもからお年寄りまで楽しめる。
3. マニア向け本格派ブレンド
辛味と香り、どちらも楽しみたいならこちら。カイエンペッパー入りで辛さは強め。香り自慢のスパイスたちが織り成す芳香で、食欲が刺激されまくること請け合い。
4. 魚好きに!爽やかブレンド
魚介系カレーにおすすめ! フェンネルが入ることにより、食材の臭みを中和してくれる。チリフレークなどの唐辛子系スパイスは、好みの分量で調節しても良し。
あの人、あの店のブレンドを知りたい!
「自分でこだわりのブレンドを見つけるなんて面倒! てっとり早く名店の味を手に入れたい!」という方、あるいは「あれこれ試しすぎて混乱してしまった!」という方のために、スパイスの達人シャンカール・ノグチ氏と、伝説の名店『ルソイ』のブレンドを紹介しよう。
シャンカール・ノグチ氏の仕上げ用ブレンド
「東京カリ~番長」の貿易主任であり「東京スパイス番長」所属のシャンカール・ノグチ氏。スパイスに関する著書なども多数手がけ、All Aboutではカレーガイドも務める。
【材料】
クミンシード……16g
グリーンカルダモン……6g
クローブ……6g
ブラックペッパー……4g
メース……4g
アジョワンシード……3g
ローリエ……5枚
シナモン……1本
【作り方】
クミンシード、アジョワンシードはフライパンで弱~中火で乾煎りする。香りが立ち、焦げ茶色に色付いたら火を止め、粗熱をとる。電動ミルで他のスパイスと合わせパウダー状になるまで粉砕する。
今は無き伝説の名店『ルソイ』名店の秘伝ブレンド
インド北西部パンジャブ地方の家庭料理で人気を博していた『ルソイ』では、16種類ものスパイスを料理人の感性でブレンド。
【材料】
クミン……小さじ2
コリアンダーシード……小さじ2
マラティ……小さじ1
ロングペッパー……小さじ1
シナモン……小さじ1
カルダモングリーン……小さじ1
カルダモンブラック……小さじ1
アジョワン……小さじ1
メース……小さじ1
ドライジンジャー……小さじ1
ブラックペッパー……小さじ1
ベイリーフ……小さじ1
フェノン……小さじ1
ナツメグ……小さじ1
マスタードシード……小さじ1
クローブ……小さじ1/2
【作り方】
全てのスパイスをフライパンに入れ、香りが立つまで乾煎りし、電動ミルでパウダー状になるまで粉砕する。
プロのレシピと自家製ガラムマサラで料理してみよう!
自分でガラムマサラを作ったら、香り豊かなうちに使いたい。スパイスカレーのベースには基本的にガラムマサラが必要になるが、ガラムマサラの風味がキーとなるレシピを厳選して紹介する。ガラムマサラの配合にこだわりが見えるので、ぜひ参考に。
アルベイガン by ルソイ
自家製ガラムマサラを作ったら、ぜひ試してほしいのが北インドの家庭料理アルベイガン(アル=ジャガイモとベンガン=ナスの汁気の少ないカレー)だ。
1998年に目黒にオープンし、北インド・パンジャブ地方の本格的なカレーが食べられる店として在日インド系の人々にも愛された『ルソイ』。その後閉店したが、当時編集部が教えてもらったアルベイガンのレシピを紹介しよう。ナスとジャガイモの野菜の甘みに自家製ガラムマサラがアクセントを加えるのを感じられるだろう。パンジャブ地方独特のスパイスを使った風味豊かで刺激的なカレーを、地元の味そのままに再現したい。
【材料】1人分
ナス……5個
ジャガイモ……中2~3個
紫玉ねぎ……中1玉
トマト……1玉
ショウガ、ニンニク……各1片
香菜(ざく切り)……適量
クミンシード……大さじ1 1/2
塩……大さじ1
ギー……大さじ2 ※
(A)
ターメリックパウダー……大さじ1/2
カイエンペッパー……大さじ1/2
パプリカパウダー……大さじ1/2
自家製ガラムマサラ……大さじ1/2
塩……大さじ1/2弱
香菜、青唐辛子(各みじん切り)……各適量
(B)
ショウガ(千切りを水にさらす)……適量
香菜(葉をざく切り)……適量
※ギー(Ghee)はインドを中心とした南アジアで古くから作られてきた、炒め物や菓子作りに用いる食用のバターオイルの一種。発酵無塩バターを煮詰めた純粋な乳脂肪で、独特の香ばしい香りが特徴だ。店ではインドから取り寄せた高級品の缶詰を使用している。調理油としての他、焼きたてのナンに塗って食べても美味しい。
【作り方】
1. 中火でフライパンを熱し、ギーを大さじ2入れる。みじん切りにしたニンニクを入れ、焦げないよう回しながら香りを出す。
2. クミンシードとみじん切りにした玉ねぎを加え、玉ねぎがこんがりと色づくくらいまでさらによく炒める。
3. ざく切りにしたトマト1個を入れる。少量の水(分量外)を加えて強火で炒める。
4. Aのスパイス類をフライパンに入れて炒め、水を大さじ1(分量外)加える。
5. 中火程度でしばらくスパイスを炒めて香りを出し、トマトが形を留めないくらいまで炒める。
6. 短冊切りにしたジャガイモと、水を大さじ1程度(分量外)加え、煮込む。
7. ざく切りにした香菜を加え、水を足しながら焦げないように煮詰めていく。火加減は最初強火、あとは弱火で。
8. 2cm幅程度に切ったナスを加え、中火で絡める。さらに香菜を加え、蓋をして蒸し焼きにする。
9. 3分程したら蓋を取り、ナスがしっとりしていたら、最後に強火にして水気を飛ばす。皿に盛って、仕上げにBを飾る。
ポイント1:ルソイのオリジナルガラムマサラ
上でも紹介した『ルソイ』オリジナルの「ガラムマサラ」は、クミンとコリアンダーが多めなのが特徴だ。季節やスパイスの状態で分量を微妙に調整すると良い。
ポイント2:最後は弱火で蒸し煮にする
最後の仕上げは弱火で蒸し煮にナスを入れてスパイスを絡ませたら、炒めすぎずに弱火で蒸し煮にする。ナスやジャガイモの形を崩さず、水分の蒸発を防ぐためには、この調理法が一番。ナスも、トマトの汁気とスパイスの溶け出したオイルを程良くまとうことができる。
マトンカレー by シャンカール・ノグチ
ガラムマサラを特に多用するインド北西部、パンジャブ地方では、バターやクリーム、山羊のチーズ、ヨーグルトなどの乳製品をよく使って、濃厚な味に仕上げたカレーが特徴的。チキンだけでなく、マトンカレーがよく食べられているのだという。深みのある辛さで食べた瞬間毛穴がブワッと開く快感を得られるだろう。
【材料】 10人分
玉ねぎ……13玉
生姜……50g
ニンニク……50g
サラダ油……400ml
シナモン……2本
マトン……2.5kg
(A)
カイエンペッパー……20g
パプリカパウダー……30g
ガラムマサラ……30g
ターメリック……30g
塩……40g
トマト……3個
フライドオニオン……50g
ミートマサラ……30g
フェヌグリーク……30g
パクチー……2束
生姜……1片
青唐辛子……2本
【作り方】
1. 玉ねぎをざく切りにし、フードプロセッサーでペーストにする。
2. 鍋に油を温め、シナモンを入れて香りが移るまで加熱する。
3. ニンニクと生姜、水(分量外200cc)をフードプロセッサーにかけ、2に入れる。
4. 油に色がついたら、1と水(分量外200cc)を入れて20分程炒める。
5. 4にマトンを入れて炒める。
6. 5にAを入れて、30分程炒める。
7. マトンに火が通っているかを確認する。
8. 火が通っていたらトマトをピューレにし、7に入れさらに弱火で15分程煮込む。
9. 水気がなくなったら、フライドオニオンを入れる。
10. 水(分量外1L)を入れ、煮込む。
11. 10にミートマサラ、フェヌグリークを入れる。
12. 刻んだパクチー、生姜、青唐辛子を入れたら完成。
オリジナルガラムマサラがポイント!
このレシピで使用されるスパイスは以下のとおり、全部で19種類!
・コリアンダーシード
・クローブ
・グリーンカルダモン
・クミン
・カイエンペッパー
・アジョワン
・フェンネル
・フェヌグリーク
・パプリカパウダー
・ナツメグ
・ターメリック
・ジンジャー
・シナモン
・ロングペッパー
・メース
・ミートマサラ
・マスタードシード
・ベイリーフ
・ブラックカルダモン
オリジナルのガラムマサラは、材料にある19種のスパイスの中から16種を調合したものだ。季節によって分量は微妙に変化するが、クミンとコリアンダーが多めでカルダモンは2種類を使い分けるのが特徴だ。スパイスを入れたボウルを火にかけ、香りを立たせてからミルで挽いて使用する。ピリリとした味わいが刺激的。
単品スパイスが賞味期限を迎えてしまったら、スパイスやハーブはミックススパイスにして、手軽にソースに混ぜたり料理の仕上げにかけたりして、楽しんではどうだろう?
スパイス専門店『香辛堂』に教わった、世界のミックススパイスの配合をお届けする。スパイスの世界の広大さを感じていただけることと思う。
五香粉(ウーシャンフェン)
中華料理ではおなじみの「五香粉」だが、5種類というではなくたくさん入っているという意味。オリエンタルで華やかな香りが、肉や魚料理、炒め物に深みを与えてくれる。
ピクリングス Pickling
ピクルスのためのブレンドで、これに野菜と水、酢、砂糖、塩を一緒に煮込むと、本格的なピクルスが手軽に作れる。辛味のあるスパイス中心でホールのまま使用する。
エルブ・ドゥ・プロヴァンス Herbes de Provence
プロヴァンス地方の伝統的なミックス・スパイスで、肉や魚の臭み消しとして重宝される。爽やかな香草のみをブレンドし、フレンチ調の料理に仕上げることができる。
【DATA】
香辛堂
住所/東京都目黒区自由が丘1-25-20
電話/03-3725-5454 営業時間/11:00~19:00
定休日/水曜日、第4木曜日(不定休あり)
http://koushindo.net/