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唐草模様は蛇を意匠化したものでは?

А.Ю. Алексеев

Золото скифских царей в собрании Эрмитажа.

A.Yu. Alekseev 
”Gold of the Scythian kings in the collection of the Hermitage”
 

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この記事ですが、アレクセーエフ氏の「スキタイ王たちの黄金」という本から紹介しているようです。写真を見ているだけでも興味深いです。実に高度な芸術品。この写真を見ていくと、馬のハーネス装飾という縦長の飾りが出てきます。紀元前4世紀のボルシャヤ・ツィンバルカ古墳で発掘されたものだそうです。女神の下に、二匹の蛇が巻き付いています。蛇がハート型に絡みついて、ハート型のデザインは古代からあることがわかります。アテネの博物館でもハート形のアクセサリーを見ました。もちろん、我が国縄文時代には顔がハート型の縄文のヴィーナスもあります。
 
このハーネスの女神と蛇の意匠は、なんとなくクレタ島で見つかった女神が両手に蛇を握っている像と似ていると思います。拡大してみると、女神が片手ずつ二匹の蛇を掴んでいるように見えます。
それとこれは唐草模様でもありますね。唐草模様といえば、仏像の光背に透かしになっているものや法隆寺の装飾のあちらこちらにあります。例えば、法隆寺救世観音像の冠の唐草模様が思い浮かびます。起源は蛇だったのではないでしょうか。このハーネスの模様、蛇の顔があるものとないものがありますが、蛇をデザイン化して連続模様になって、唐草模様として完成したのだと私は感じます。唐草模様を見て、蛇だ、と思う現代人はほぼ皆無と思いますが、昔の人々は、そういう意識で唐草模様を形取って装飾していたのでは。
それにしても、美しいと思っていた唐草模様の全てに蛇の頭がついているのが省略されているだけだとすれば、あの唐草のデザインに蛇の頭がついている様子を思い浮かべて見てください。メデューサそのものですね!そして、メデューサって、実は侍女ではなく侍従をたくさん侍らせていた女帝だったのかも???蛇=男性ならば。
 

Bolshaya Tsimbalka mound

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ギリシャ クレタ島 紀元前1500年

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同記事に、この壷があります。上の方は、二段に狩猟シーンが彫刻されていますが、正面の唐草模様は、やはり元は蛇の意匠を表しているのかもしれないと思いました。下の方に二頭の獅子が立体的に首が付いています。二羽の鳥は、なんの鳥でしょうか。獅子の間に見えるのは、鷹なのか、なんでしょうか。鳥の下の方には、リュトンのようなものが見えます。何を暗示した図柄なのか、それを説明しているものが見つかりません。正倉院御物の宝物とも共通点がありそうです。

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