初版1981年2月、美しい挿絵が添えられたヨーロッパの本を忠実に再現した新書館の童話シリーズの一冊です。紙の表紙の裏側にもしっかりとカラーで挿絵、それを取った内側の本にも、挿絵が印刷された、豪華なものです。エドマンド・デュラックの挿絵が美しいのはもちろんですが、翻訳者の解説も良いです。この本には、眠れる森の美女と、サンドリヨン(シンデレラ)の二つのストーリーが載っているのですが、眠れる森の美女が誕生した際に、意地悪な妖精がかけた呪いがありましたね。最後に残った良い妖精が、死ではなく百年の眠りの後に、王子様によって目を覚ますとそれをなおしてくれたわけですが、なんと原作では、そこで終わりではなかったのです。王子の実母が人喰い鬼で、王子と結婚した王女、その間に生まれた二人の王子と王女を食べようとした話がついています。訳者はあとがきで、その母親こそが、呪いをかけた悪い妖精だったのではないか、と書いています。ペローもグリムも、結構残酷な話を書いているんですよね。グリムにも子供を食べる魔女や大人、巨人の話が出てきましたっけ。「ジャックと豆の木」「ヘンゼルとグレーテル」もそうですよね。原作で「白雪姫」を殺そうとしたのは継母ではなく、実母だった、グリムは実話を採集して書いたと読んだ記憶があるのですが。
今回流石に古くなって傷んだこの本も、処分することにしました。カラーの挿絵で気に入ったものは、額に入れて飾って楽しんでから処分しようと思っています。
目次もおしゃれ。天使にガラスの靴の上に乗っている図案が可愛い。
これが良い妖精
ここからサンドリヨンの挿絵です。