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馬王堆漢墓帛画

11月18日に、明治天皇の赤い礼服の写真を掲載しましたが、馬王堆漢墓帛画にも似ていると思いますので、写真を載せてみます。

wikiより、帛画

1号墓、3号墓の内棺の蓋板には、形・内容ともほぼ同様の帛画が掛けられていた。いずれもT字型の一重(ひとえ)の地で作られており、上縁に竹棒が通され、吊り下げるための絹の掛け紐が付き、T字の4箇所の下端四隅には房がつけられていた。当時の葬送儀礼に欠かせなかった旌幡であろう。1号墓の帛画は長さ205センチメートル、上端部の幅は95センチメートルあり、完全な保存状態で出土した。3号墓の帛画は長さ233センチメートルである

帛画は、緑色に染めた絹の上に、主に鉱物性の顔料を用いて色彩豊かに描かれている。絵の主題にはの地方色が色濃く反映され、当時の楚の幻想的・屈原的な雰囲気を偲ばせる。この帛画は中国古代絵画の最高傑作と言い得るものである

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帛画の上部は天上界を表す。まず、上端中央に人身蛇尾(上半身が人間、下半身がとぐろを巻いた蛇)の神人が座している。ひとり神で蛇身部分が赤いことから、『山海経』の燭竜と推測される。神人の右側、赤い太陽の中には黒い鳥が、左側の三日月の中にはひき蛙が描かれている。これらは『淮南子』の「日中に踆烏(しゅんう)有り、而して月中に蟾蜍(せんじょ)有り」をその通りに描いている

 

太陽の下にいるの傍らには8個の赤い円が描かれている。これは羿が9個の太陽を射落とした伝説に関係すると考えられる。従って竜と絡み合う樹木は『山海経』にある扶桑であろう。 三日月の下にいる竜の傍らには、1号墓の帛画では飛翔する女性が、3号墓の帛画では飛翔する上半身裸の男性が見られ、被葬者の昇仙図となっている

竜の下の天門(天上界と現世の境)には2人の役人が向かい合って座り、その後ろの柱にはがしがみついている。これは『楚辞』の「招魂」を思わせる

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現世界に入り、天門直下の華蓋の上には一対の鳳凰が、下には人面の奇怪な鳥が飛んでいる。その下の左右には竜が描かれ、下の方でを貫き交竜になっている。その竜に挟まれる形で被葬者の出行の場面が描かれる。1号墓の帛画では、曲裙の長衣を着た老婦人(被葬者)が杖をついて立ち、後ろには女性3人(腰元であろう)が従い、前に男性2人(天からの迎えの使者か)が跪いている。3号墓の帛画では、劉氏冠と朱の長衣をまとい、腰に帯剣した男性が袖に手を入れて歩み、周囲に9人の人物が従っている

 

その下にある宴の図は、被葬者を見送り、霊魂を導き昇天させる意味を持つ。あるいは被葬者が死後の世界で食事を楽しむ様子を描いている。料理や酒をふんだんに供えた。その供宴の席を、2匹の大魚(海を象徴する奇獣)の上に立った裸身の力士が支え上げている。彼は『楚辞』の「招魂」にある土伯(幽都(冥界)の怪物)かもしれない。彼の周囲には霊亀鴟鴞などの霊鳥が描かれている。これら璧から下の部分は地下界を表す

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帛画の名称は、遣策(副葬品リスト)にある「非衣」と考えられる。これは、衣の形をしているが衣ではない旌幡、といった意味合いだが、「非」は漢代には音通で「飛」と解することもでき、「非衣」即ち「飛衣」として霊魂の飛翔、昇天を願った名称であろう。帛画全体の主題も被葬者の「引魂昇天」と言えるものである

 

3号墓の内棺の左右側板ではそれぞれ別の帛画も見つかっている。右側板(西壁)の帛画は212×94センチメートルの儀杖図で、比較的保存状態が良い。画面左上に被葬者らしき男性が描かれ、劉氏冠を戴き、長袍を纏い、腰に宝剣を帯びている。後ろには彼にをさしかける従者と属官が20人ほど従う。彼らは右側の5段の土壇へ向かっており、周囲の車馬隊、騎従隊、楽隊は全て被葬者に顔を向けている。これはおそらく被葬者が生前に挙行した盛大な検閲儀式を描いており、その車馬儀杖の場面には合わせて百人余りの人物・数百頭の馬・数十輌の車が描かれている。左側板(東壁)の帛画はかなり傷んでおり全体像は不明だが、2片の残片によると家屋・車馬・奔馬・船を漕ぐ女性の場面などを描き、右側板のものとよく似ており、いずれも被葬者の生前の豪奢な生活を描いていると思われる

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同じ古墳から出土した、絹織物の柄が素晴らしいです。渦巻紋が好みだったのですね。この織物の写真はwikiより。

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